眠りの達人 　~蒲團屋 山昇~

毎度ありがとうございます。

月末は、色々な所に集金にお邪魔します。特に、今日は横須賀地区が多く、どこのお宅に伺っても、「お祭りはお天気どうかねえ」「横須賀のお祭りは、雨が降るでね」「でも、雨ん降っても、お祭りはやるだで、関係ないじゃんねえ」という会話になります。
　明日の夜は、稽古場に集まってお祭りの会所の支度をします。それから、軽く一杯。いよいよお祭りモードです。

午前中に、打ち直しにお布団をお預かりしに、お邪魔したときのお話しです。
そのお客様は、ダブルの敷きふとん１枚と、シングルの敷きふとん２枚を出され、シングルロングサイズの敷きふとん３枚のご注文を賜りました。
お預かりしたお布団を触ると、少し変な感触がしたので、「このお布団は、農協で仕立て直しをされました？」とお聞きしました。すると、そのお客様は、「農協じゃ無くて、隣町の○○ふとん店におねがいしたものよ」と言われました。更に、「すこし寝にくいのよね」と続けてお話しになりました。

確かに、触っただけでも寝にくいと言われることがよく解ります。変にお布団が、ぷかぷかしているのです。その原因は、中身を見るとすぐに解ります。


綿の中程に、以上に白い綿が見られますが、明らかに違う素材の綿を使っています。テトロン綿（化繊綿）です。テトロン綿を使用する事によって、すごく膨らんで見た目にも良い敷きふとんが出来上がりますが、汗を吸わない、ぷかぷかして寝にくいなど、決して良いことはありません。もし、それが良いこと言うなら、そのお店がちゃんと説明して欲しいものです。

　私は、お布団のプロであると言うなら、自分でお布団を仕立てられないといけ無いと思い、平成元年に一年間勉強して、寝具制作の二級技能士の免許を取りました。その際、ご指導いただいた先生からも、決してこのような仕立てが良いとはおしわりませんでした。
　明らかに、インチキであり、ごまかしです。まだ、こんな事をしているお布団やさんがあるとは、本当に驚きです。

以前、伊勢の代表銘菓が、偽装と言うことで大問題になりました。でも、そのお菓子を食べて、体調を悪くした人は一人もいませんでした。それでも大きな問題になりました。たまたま、その社長とは顔見知りだったので、私もすごく心配しました。
　それに、比べたら明らかにもっと悪質な偽装であり、お客様も「寝にくい」といっておられるので、本来なら大問題であります。でも、何も問われません。
ＴＶＣＭをやる某ふとんメーカーも、当然同じような事をして、ごまかして大きくなっていきました。

絶対、やってはいけない事です。本当は声を大にして問題としたいのですが、何も問われません。でも、私の所は、常に何事も正直でありたいと思い、正直に商売に取り組んでおります。年度末にあたり、改めて肝に銘じた一日でありました。